星のムーンサルト

タロットについてのあれこれ

悪魔

悪魔のカードのとても面白いことの一つは、その構図を恋人たちのカードと同じくしていることである。愛はあるレベルでは地上最大の幸福のようであるが、あるレベルでは地上最大の苦しみとなる。欲というものの前で、私たちは天にも昇るような気持ちにもなれるし、餓鬼のように満たされることに執着してしまうのである。
悪魔というのは、現代的に言えば記憶であったり、それに伴う思考であったりで、私たちの最も弱い場所を見つけるのが得意である。隙があれば瞬く間に侵食し、外側の闇と繋がりその勢力を強める。また、多数決によって私たちを外側から支配しようとする。
悪魔は人がいる限り、決していなくなりはしないだろう。しかし、悪魔に取り込まれてしまう人もいれば、悪魔の声に決して屈しない人もいる。欲というものが悪なのではない。欲というものについて考えること、これが悪なのである。何かを得るための理由ばかりがこの世界には溢れている。理由だけが先回りして、私たちは本当に欲しいものに出会うことができないだけだ。