星のムーンサルト

タロットについてのあれこれ

死神

死というものは人にとって最も怖いことのようだ。それは死の先にあるものが何か、わからないからである。その先に何もない、ということがどういうことかわからない。何かが終わる時も同じだ。何かが終わった後のことがわからないから怖くなる。だから次のことを先に決めたり考えたりして安心を得ようとする。そう考えると、私たちが1番恐れを感じていることは'終わること'ではなく'わからない'ことである。
現実には、わかる世界で生きるよりもわからない世界に生きた方が、より自分にフィットする出来事が起きたりする。自己認識というのは独りよがりで、「これが私」と信じている自分は、理想や憧れが色濃く反映されていたり、育った環境や体験などから自分を過小に評価していることが多い。現実が思った通りにならないなら、それは自己認識が大きくずれている可能性がある。死神のカードはその自己認識にメスを入れる。いつまでも理想や憧れ、または卑下にしがみつく私たちの目を覚まさせる。理想が悪いということではない。理想よりも素晴らしいあなた自身がいるのだと、何かを終わらせることで伝えようとする。生きていく中で、作られたアイデンティティは何度も死んでゆくが、その度に現れるのは本当の、美しい光の粒なのである。