星のムーンサルト

タロットについてのあれこれ

女帝

愛と豊かさがイコールで結ばれるのは、西洋占星術で表されるところの金星たる所以だろう。金星はイシュタルの守護星でもあり、美と豊穣の象徴である。
タロットで女帝のカードが出れば、それは愛や豊かさを表し、特に女性の幸せを意味するものとなる。何かを獲得することに喜びを見出す皇帝のカードと違って、女性の喜びは与えられるという質にあり、自分が守られているという感覚に繋がっている。しかし現代にこの解釈が当てはまるとは到底思えない。よって今ならば、ある程度満たされているという幸福感、逆位置ならば平穏さ失う事への極端なおそれ、それらを表す事だろう。


贅沢の質が徐々に変わってきている、と思う。毎日がほどほどに贅沢なことに慣れすぎてしまっているのである。しかし質素であることが美徳であるというわけでもない。お金があろうがなかろうが、その豊かさの基準は心の中にしかなく、通貨という共通単位で図ることができないということを知るものと知らないもので二極化しているのが、この現代なのである。前者にとってこのカードが出ればそれは豊かさという奥行きのあるもので語ることができるが、後者にとってはあまり冴えない、今やそんなカードかもしれない。(と、2024年の私はそう思っている)